内科・消化器内科・肝臓内科
1. 腎臓の働き
腎臓は背中側の腰あたりに左右に1つずつ、計2個あります。大きさはこぶしほどで、そらまめのような形をしています。
腎臓の主な役割は尿を作り、体内の老廃物を排出することです。腎臓にある糸球体は、「ろ過器」として体に必要な物質を保持しながら老廃物を取り除きます。また、腎臓は体内の塩分濃度などの電解質バランスを調整する働きを担っています。
さらに、赤血球を生成するために必要なホルモン(エリスロポエチン)産生や、骨の健康に重要なビタミンⅮの活性化も腎臓の役割です。

2. 慢性腎臓病とは
慢性腎臓病(CKD)は、以下の①または②、もしくは両方が3ヶ月以上持続する場合に診断されます。
- 尿検査、画像診断、血液検査、病理診断で腎障害が認められる。
- 糸球体ろ過量(GFR)が60mⅬ/分/1.73㎡未満である。
糸球体ろ過量(GFR)は、腎臓が老廃物を尿として排出する能力を示しています。この値が低いほど腎機能が低下していることを意味します。推定糸球体ろ過量(eGFR)は、血清クレアチニン値、年齢、性別から算出され、正常値は90mⅬ/分/1.73㎡以上です。
一般的な検査項目
尿検査
蛋白尿:主に糸球体に障害がある場合に認める
血尻 :腎臓に炎症や結石、腫瘍などがある場合に認める
血液検査 血清クレアチ二ン値
クレアチニンは、筋肉に含まれるたんぱく質の老廃物で、腎臓から排泄される。腎機能が低下すると血液中のクレアチニン濃度が上昇します。
3.経過
慢性腎臓病は初期段階で自覚症状が少なく、多くの場合、尿検査での異常(タンパク尿や血尿)をきっかけに発見されます。そのため、健康診断は非常に重要です。
また、糖尿病や高血圧で定期的に受診している方が、血液検査で腎機能異常を指摘されることもあります。
慢性腎臓病の主な原因は、糖尿病、慢性腎炎(慢性糸球体腎炎)、高血圧、動脈硬化による腎硬化症などです。病気が進行すると腎不全となり、生命に重大な影響を及ぼします。
尿の異常、糖尿病、高血圧などの指摘を受けた場合は放置せず、早めに医療機関に相談してください。