内科・消化器内科・肝臓内科
慢性胃炎
胃炎には、暴飲暴食や薬剤などの影響で起こる急性胃炎もありますが、急性胃炎は一度治癒すれば胃の粘膜はきれいに治ります。長期間にわたり胃炎が続いている状態を慢性胃炎と言います。
症状の有無にかかわらず、内視鏡検査(胃カメラ)によって診断され、表層性胃炎と萎縮性胃炎に分類されてきました。
萎縮性胃炎の粘膜は、ふかふかの絨毯が、経年劣化して表面の毛足が寝てしまい、へたりを来した状態。表層性胃炎の粘膜は、表面の毛足が一部欠損している状態に相当すると考えます。
萎縮性胃炎は慢性胃炎の大部分を占め、高齢者に多く、胃がん発生と関連することがわかっています。
現在では萎縮性胃炎のおもな原因はヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)の慢性的な持続感染であるとされています。
ピロリ菌に感染すると好中球やリンパ球といった白血球が免疫反応にて排除しようとして炎症が起こります。
またピロリ菌自体が毒素を出すことで、直接胃粘膜を痛めつけることも証明されています。
痛めつけられた胃粘膜は萎縮性胃炎という状態となり、きれいなピンク色だった粘膜は色あせ、粘膜の下を走る血管まで透けて見えるようになります。
胃の粘膜は再生を試みますが、胃の中にはピロリ菌が存在しています。
このような状態で粘膜を再生すると正常な胃の上皮ではなく大腸や小腸の粘膜に似た上皮が形成されてしまいます。
この状態は、腸上皮化生と呼ばれ、腸上皮化生の粘膜からは胃がんが発生しやすくなります。
そのため、慢性胃炎、とくに腸上皮化生を伴うものは前がん病変として注意が必要です。