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脂肪肝とは

脂肪肝は、無症状ながら肝障害を来たす原因のかなりを占める、ありふれた病気です。
この脂肪肝とは、どのような病気なのでしょうか。

健診で、肝障害を指摘されて病院を受診し、脂肪肝と診断された人は多いと思います。

脂肪肝とは、肝細胞内に生理的範囲を超えて過剰に脂肪が蓄積された状態で、厳密には肝組織標本(肝臓の組織を顕微鏡で検査する)で肝臓の全体の1/3以上の肝細胞に脂肪沈着が認められる場合を言います。

肝臓では、エネルギー源として使用するため中性脂肪を合成し、一部を肝細胞の中に貯えておきます。
消費するエネルギーに比べて合成した中性脂肪が多いと、脂肪が過度に蓄積した状態となってしまいます。
正常でも、肝全体の重さのうち、2〜3%の脂肪はあるのですが、これが10%以上になると脂肪肝を呈すると言われています。

前述したように肝臓の組織を採取して、検査することは少なく、一般的には、腹部超音波検査で肝臓への脂肪沈着の有無をみて診断されます。

血液検査で、肝障害がなければ脂肪肝がないかというと、そうではなく、程度が軽度で、肝障害を来たしていないだけだと思います。

テレビでも「隠れ脂肪肝」が特集され話題になりました。軽度であれば、肝機能障害は起こしませんが、進むと肝炎となり、炎症と再生の過程で線維化を生じます。原因は、アルコール摂取、過栄養に伴う肥満とされています。

肥満人口の増加を反映して近年、上昇しています。

また、かつては脂肪肝は中高年の病気といわれましたが、最近では青少年にも見受けられるようになっています。1日のアルコールの飲酒量がエタノール換算にして20g以下で脂肪肝の場合は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)と診断します。

日本人の約2〜3割は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の素因があり、その約1割が重症型である非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に移行し、将来に肝硬変や肝癌の危険性を負うことになります。

写真は、脂肪沈着と肝細胞変性、線維化が見られており、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と診断されています。治療としては、脂肪肝の原因が肥満などのメタボリックシンドロームであれば、生活習慣の改善と減量が目標となります。

また、飲酒量を減らしたり、糖尿病を合併している人は、糖尿病のコントロールを良くすることが脂肪肝の改善にも繋がります。また、日本人の脂肪肝の20〜30%は非肥満症例(BMI<25)であるといわれ、その原因はわかっていません。

腹部超音波検査
肝組織標本